アトピー性皮膚炎

アトピー貴陽石


アトピー性皮膚炎の特長

アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎など*アレルギー反応が原因で起こる疾患をいわゆる「アレルギー疾患」と呼びますが、病状は繰り返しの「かゆみを伴う発疹」が特長です。発疹は顔や首、肘、膝など、ひどくなると全身に広がることもあります。5歳以下での発病がほとんどで「遺伝体質」も関係しているといわれています。ニキビ同様に皮膚の病気は治療が難しく長期にわたります。

* アレルギー反応は、体の中に異物が侵入した時に起きる過敏な反応

厚生労働書の調べによると、何らかのアレルギー疾患を持っている人は乳幼児28.3%、小中学生32.6%、成人30.6%と、およそ国民の3人に1人がアレルギー疾患を持っていることが判明しています。

ステロイドと民間療法

民間療法の「アトピー治療」には、漢方薬処方、貴陽石などの温泉治療、断食道場、一時期大ブームになった野菜スープ、イソジン塗布、酸性水、シジウム茶、プルーン、深海水など「星の数」ほどあります。それほど皮膚科に治療に行っても治らないからでしょう。事実私の子供も、いくら皮膚科に治療に行っても「痒み(かゆみ)」止めの薬をもらいに通っていたのが実態。民間療法すべてに共通するのはアンチ・ステロイドといってよいでしょう。ステロイドの副作用が民間療法の後押しとなっています。また民間療法で改善した方も多いのも事実だと思います。しかしアトピー患者すべてに効果があるわけでないのが、アトピー性皮膚炎の難しさです。
アトピー性皮膚炎の患者さん相談会を開催すると、ステロイド外用薬を使っていいのか、ステロイド外用薬でアトピー性皮膚炎は治るのか、ステロイド外用薬でよくなってもやめればすぐに悪くなるのか、どのくらいが適量か、副作用は大丈夫か、などなど病気やステロイド外用薬への不安がいつも話題になります。さまざまな情報が氾濫し過ぎてどれを信じて治療すればいいのかわからず、不安でたまらないというのが実状なのかもしれません。不安は病気を悪化させます。不安の解消が、最も大切な治療への一歩です。これから、ステロイド外用薬の有効性や使用量のめやす、副作用の程度などの最新のデータ、さらに非ステロイド性免疫抑制薬であるタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)の有効性や副作用について説明します。読者の皆さんの不安が少しでも解消できれば幸いです。飲み薬に1日1回とか1日3回とかの決まった用法・用量があるように、塗り薬にも適量があります。塗る量が少な過ぎると治療効果はありません。
「ステロイド」は、もともと腎臓の上にある副腎という器官でつくられるホルモンです。これを人工的に合成したのがステロイド薬で、炎症を抑える効果があります。ステロイド外用薬は1952年から使用されている、長い歴史を持つ薬です。ステロイド外用薬を塗ると、塗った部位に集まっている炎症細胞の活性化を抑えるだけでなく、皮膚の細胞の活性化も抑えてくれます。ですから、きわめて効果的に皮膚炎を抑えることができます。皮膚炎が抑えられると、かゆみ神経の活性化も抑えられ、かゆみは急速になくなるのです。
ステロイド外用薬は、その効果の強さによって5段階に分けられていて、炎症の程度、炎症が起きている部位、年齢などによって、適切な強さのものが処方されます。部位を考慮するのは、薬の吸収率が部位によって大きく違うためです。顔や首などの皮膚がうすいところは吸収率が高く、手や足などの皮膚が厚いところでは吸収率は低くなります。また、乳幼児は吸収率が高く、お年寄りも皮膚がうすくなっているので薬がよく吸収されます。そのため、どちらも弱めの薬を使用します。ステロイド外用薬は炎症に対する作用の強い順に,ストロンゲスト(strongest,I群),ベリーストロング(very strong,II群),ストロング(strong,III群),マイルドまたはミディアム(mild・medium,IV群),ウィーク(weak,V群)に分類されています。処方されているステロイド外用薬のランクを確かめておきましょう。ジェネリック医薬品の場合は、一般名を参照してください。

薬の効果
一般名:代表的な製品名

I群 ストロンゲスト
プロピオン酸クロベタゾール(0.05%):デルモベート
酢酸ジフロラゾン(0.05%):ジフラール、ダイアコート

II群 ベリーストロング
フランカルボン酸モメタゾン(0.1%):フルメタ
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(0.05%):アンテベート
フルオシノニド(0.05%):トプシム、シマロン
ジプロピオン酸ベタメタゾン(0.064%):リンデロンDP
ジフルプレドナート(0.05%):マイザー
アムシノニド(0.1%):ビスダーム
吉草酸ジフルコルトロン(0.1%):ネリゾナ、テクスメテン
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(0.1%):パンデル

III群 ストロング
吉草酸ベタメタゾン(0.12%):リンデロンV・VG、ベトネベートN
プロピオン酸ベクロメタゾン(0.025%):プロパデルム
プロピオン酸デキサメタゾン(0.1%):メサデルム
吉草酸デキサメタゾン(0.12%):ザルックス、ボアラ
ハルシノニド(0.1%):アドコルチン
フルオシノロンアセトニド(0.025%):フルコート
プロピオン酸デプロドン(0.3%):エクラー

IV群 マイルド(ミディアム)
吉草酸酢酸プレドニゾロン(0.3%):リドメックス
トリアムシノロンアセトニド(0.1%):ケナコルトA、レダコート
酪酸ヒドロコルチゾン(0.1%):ロコイド
酪酸クロベタゾン(0.05%):キンダベート
プロピオン酸アルクロメタゾン(0.1%):アルメタ
デキサメタゾン(0.1%):デキサメタゾン、オイラゾンD

V群 ウィーク
プレドニゾロン(0.5%):プレドニゾロン
酢酸ヒドロコルチゾン(1%):コルテス

日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドラインより一部改変
厚生労働省科学研究費研究班(平成17〜19年度)
「アトピー性皮膚炎の症状の制御および治療法の普及に関する研究」